マームとジプシー『cocoon』観劇。
70年前の沖縄が、少女たちの命が、戦場が、
舞台の上に、横たわっていて。
そんな命たちが燃えていく様を、
なぜか今生きてしまっている
蚕の糸のように、強くて、長い、
紡がれた命たちで観ていた。
誰も死にたくなどなくて、
それでも抗えぬ波に飲まれたときに、
少女たちは走って、死んで、走っていた。
会場を出ようとしたときに、
床に置いたリュックには、
舞台に敷かれた砂のつぶと、
70年前の沖縄の面影が、
少しだけ、かぶさっていて。
70年後の今に、
「戦争はいけない。」
なんて、わかりきった総体が、
戦争に向かう未来を、
選択しようとしている。
そんな中、僕にできたのは、
命を燃やした70年前の人たちと、
目の前で命を燃やしている演者と
重くただよっている不安に
思いを巡らせ、
ただ涙を流すことだけだった。